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変形性膝関節症

  変形性膝関節症

1.症  状
1)膝関節の内側の疼痛。
2)歩行時や歩行後の痛み。
3)階段昇降や立ち上がり時の痛み。
4)膝の腫れ(図14)
5)関節水腫(水がたまる)
6)変形(図15)(日本人は内反変形が圧倒的に多い)
7)膝の不安定感(ガクガクする感じ)
8)可動域制限(膝の曲がりが悪くなること)
 
最終的には膝関節の曲げ伸ばしが困難になったり、歩行ができなくなる重症タイプもあります。

 

(図14)膝の腫れ

 

(図15)O脚変形

           

 

2.検  査  
1)エックス線検査(図16);
   関節列隙の狭小化(関節の隙間が狭く
   なる=軟骨の摩耗)、骨棘形成(骨の棘
   がでること)
 
2)MRI;
   X線写真だけではわからない、半月板の
   変性や断裂、軟骨の欠損状況および靱
   帯の断裂など病態の把握や治療に有用
   です。
 
3)関節液検査;
   水が貯まっている時に水の内容物の検
   査のため、関節内に注射器を刺して水
   を抜いて検査に提出します(化膿性膝
   関節炎や外傷などとの鑑別に有用です)
 
4)血液検査;
   関節リウマチとの鑑別のため血液検査を
   することがあります。また化膿性膝関節
   炎(膝にばい菌が入って炎症がおこるこ
   と)との鑑別が困難なときに炎症の程度
   を血液で検査することもあります。

(図16)

 

3.治療について
 初期の場合には膝関節に負担をかけないために体重のコントロールをします。また階段昇降など無理な動作を禁ずるなどの食事指導や生活指導を行います。膝関節の負荷軽減の目的で大腿四頭筋などの筋力訓練(図17)をしっかりします。湿布などの外用剤が有効な場合もあります。さらに炎症が強い場合には消炎鎮痛剤(痛み止め)の薬がでます。週1回のヒアルロン酸ナトリウム製剤の関節内投与が有効です。膝の不安定感が強い場合には支柱付き膝装具(両サイドに支柱の入ったサポーター)や内反変形に対して外側が高い足底板を装着して、荷重軸を変えることで疼痛が治まる場合があります。
 
(図17)
 
経過によっては手術になる場合があります。
1)関節鏡手術;
   変性した半月板の損傷や変性軟骨の損傷による膝の運動制限、痛みがある場合に関節
   鏡視下にそれら機械的な因子の切除や除去を行い有効な場合がありますが、病気の本
   質から言えば、その治療には限界があります。
 
2)高位脛骨骨切り術;
   内反変形の著しい患者さんでは脛骨(すねの骨)の角度を変えて、荷重軸を矯正し、
   軟骨変性の進行を止め、痛みを軽減させます。
 
3)人工膝関節置換術(図18-1、18-2)
   膝関節の関節表面を人工の関節に置き換える手術です。社会復帰が早く、その除痛効
   果も著明です。近年特に進歩して、その長期成績も良好です。片側の破壊が強い場合
   には片側だけの単顆置換術も有効です。(図19)

 

 (図18-1 人工関節置換術術後)

 

 (図18-2)

      術 前           術後10年

 

 (図19)単顆置換術

 

4.薬剤について
 痛みの程度によって消炎鎮痛剤(痛み止め)を処方します。早期の痛みを取るきっかけとして12週間飲んでもらう場合が多いですが、長期間漫然と薬を飲み続けるのは無意味なばかりか副作用発現の可能性が高くなります。QOL向上目的にしっかりした保存療法を背景として消炎鎮痛剤を適切に利用しましよう。

 

5.病気について
 半月板の変性、関節軟骨の変性を引き金に関節構成体が徐々に老化していき、最終的に膝関節自体が腫れたり、変形したりする病気です(図20)。若いときのけが(骨折、半月板損傷や靱帯損傷)に引き続いて発症する外傷後の二次性変形性膝関節症とは別に特に原因なく加齢に伴って発症する一次性変形性膝関節症があります。一次性膝関節症は女性に多く、日本では内反変形膝(図15;O脚のこと)が圧倒的に多いです。したがって観血的治療は骨切り術にしても人工関節にしてもアライメントを矯正することで長期的な効果が望まれます。(図18-2)
 いずれにせよ関節リウマチとは違って急激に進行する疾患ではないので、ゆっくり病気と付き合いながら体重のコントロールや筋力訓練など自分でできることはしっかりやるのが良いと思います。歩くことで疼痛が増悪するようなら、プールなどで歩行訓練をするのも膝に負担をかけることなく運動不足の解消や筋力訓練にもつながると思います。手術を受ける際には進行性の病気では無いことを参考にして、じっくり考える時間を作ってください。ただ歩行の不自由は全身の成人病の引き金になり、最終的には生命まで脅かされるようになります。長期間(年単位)膝関節に疼痛を抱えて、自由に散歩や旅行ができない方は手術を考慮したほうが良いかと思います。
 
(図20)
 
              OA                       正常