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整形疾患ナビ
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関節リウマチ

  関節リウマチ

1.症  状
1)全身のあらゆる関節中のいづれかの腫れや痛み、朝の手のこわばり。
2)早期の関節リウマチであれば好発部位は足趾の付け根の関節や手指の付け根の関節の
   腫れと痛み。
3)進行していくと貧血、リウマチ肺、腎障害、胃腸障害、頚椎の脊髄症など生命予後に
   影響する全身の障害が出現します。

 

2.検  査
1)エックス線検査;
   関節まわりの骨が少し溶けて小さな穴があいている様子が分かります。進行すると
   関節は隙間をなくし、変形が強まります。
 
2)MRI;
   関節リウマチの初期から滑膜炎や関節水腫、骨髄浮腫(骨の中に炎症がおこっている
   こと)など骨関節の状態が明確に描出されます。
 
3)血液検査;
   リウマチ特有の抗体やリウマチ膠原病特有の自己抗体の有無、炎症状態のチェック、
   リンパ球など免疫の状態、貧血の有無、腎機能や肝機能などの異常のチェック、感染
   症併発などのチェックに使います。

 

3.治療について
 早期診断早期治療が最も重要です。リウマチ発症後2年間のうちにリウマチが進行しますので、この2年以内に徹底的な薬物療法を行って、リウマチをたたくというのが基本的なコンセンサスになっています。関節リウマチの診断がつけば、抗リウマチ剤、免疫抑制剤や消炎鎮痛剤などで炎症を抑えていきます。ステロイドを使うこともあります。最も一般的な薬になりつつある免疫抑制剤のリウマトレックスでリウマチ炎症コントロールして、寛解(薬を使わなくても炎症がコントロールできる状態)に持っていきます。一方でステロイド剤と消炎鎮痛剤は減少させていきます。コントロール困難な症例では生物学的製剤が有効です。最近の流れでは早期から使用される場合もあります。
 薬物ではコントロールできなくなった関節の痛みや関節の不安定症、関節の破壊に対して手術が行われます。関節では肩、肘、股、膝などの全身の人工関節置換術(図55変進歩しております。関節リウマチは進行性ですので、若い人にも人工関節の適応があります。

 

(図55-1)肩関節

(図55-2)肘関節

(図55-3)股関節

(図55-4)膝関節

 

4.薬剤について
 免疫抑制剤のリウマトレックスを週一回使用します。その他アザルフィジン、リマチルなど抗リウマチ剤も有効です。痛みの程度によって消炎鎮痛剤を処方します。炎症コントロールが困難な症例ではステロイド剤を使用します。最近では免疫抑制剤や生物学的製剤が多くでまわるようになり、関節リウマチに対する薬物療法が充実してきました。

 薬物療法のキーポイントは副作用の早期発見と投与量のさじ加減にあります。関節リウマチに有効な薬で重篤な副作用のない薬はありません。そこが関節リウマチの薬物療法の困難なところでもあります。したがって薬物療法を開始したら血液検査による副作用チェックが必要になります。

 

5.病気について
関節リウマチは膠原病と同じく自己免疫疾患と考えられています。自分の体を守るべき免疫組織が異常をおこし、自分自身の体の一部に対して抗体を作り免疫反応を引き起こし(要するに自衛軍が反乱をおこし、味方の組織に対して攻撃を始めたのです)、最終的には関節の軟骨や骨が破壊し尽くされてしまう恐ろしい病気です。遺伝的要因や細菌・ウイルス感染などが原因として考えられていますが、原因は不明とされています。
 発症後2年以上経過すれば、骨破壊が進行することが報告されており、早期に診断して、早期にしっかりした薬物療法をすることが最も重要です。ただ関節リウマチには色々なタイプがありますので、病状分析と血液検査を検討しながら最適の薬物を選んでいきます。
 朝のこわ張りや関節の腫れなどを自覚したら、リウマチ専門医に相談してください。