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腰椎分離すべり症

  腰椎分離症(分離すべり症を含む)

1.症  状
1)思春期では腰痛がほとんどです。
2)成人になり中高年での症状は腰痛に加えて、下肢のしびれや痛みなどの坐骨神経痛を
   伴うことがあります。

 

2.検  査
1)MRI検査;
  椎弓の関節突起間部の分離部位が新鮮な疲労骨折として鮮明に描出されます。分離症
  が完成する前の新鮮な疲労骨折の段階で診断できますので、初期治療には大変価値が
  あります。
 
2)CT検査;
  分離が既に完成して偽関節状態になっているのか否か、まだ亀裂だけの状態なのか、
  など分離部の骨構造的な病態把握に適しています。
 
3)エックス線検査;
  分離が完成している場合には椎弓の関節突起間部(図9)が分離しているのがわかり
  ます。分離完成以降では分離すべり症(図10)の度合いがわかります。しかし思春期
  の腰痛発症直後では、X線検査だけではほとんど役に立ちません。

 

(図9)関節突起間部

図10)分離すべり症

 

3.治療について
 分離症が思春期の椎弓骨脆弱部位に対するオーバーユース(overuse)による疲労骨折の一つであるという見方から、骨折を治す治療として捉えられるようになりました。したがって早期に発見して、新鮮な骨折の状態であれば、厳密に運動を禁止して、2〜数ヶ月の間体幹ギプス固定もしくは脊椎硬性装具の装着により骨癒合が得られる可能性があります。これとは逆に既に疲労骨折が完成して偽関節の状態であれば骨癒合は困難で、コルセットなどの装具で腰痛に対する対処にとどまります。したがってスポーツ活動の長期間の禁止は余り意味をもちません。早期発見早期治療には一端骨癒合すれば、将来の慢性腰痛の原因である分離症や分離すべり症にならなくて済むという大きなメリットがあります。思春期に既に大きなすべり症を伴っている場合には脊椎固定術の手術がされる場合があります。
 思春期に分離症が完成して、成人以降に腰痛が再発した場合にも、診断がとても大事になります。腰痛が消失した後も脊椎分離という不安定な爆弾を腰に抱えていますので、仕事やスポーツでは腰に負担をかけさせないような細心の注意が必要です。分離症に対する腰痛治療は安静、コルセット装着や消炎鎮痛剤の投与など一般の腰痛症と同じ治療で軽快する場合がほとんどです。強い腰痛の再発を繰り返したり、分離すべり症(分離した椎弓ある椎体と隣接する下位の椎体との間にズレが生じてくる)がおこっている場合には分離部を通過する神経(坐骨神経)に対する刺激で、下肢痛やしびれなどの神経症状が出現する場合があります。その際には神経根ブロック(罹患した神経に対するブロック注射)治療などを行います。強い症状が再発する場合には脊椎椎間固定術を行う場合があります。固定が完成すれば、症状は消失し根治となります。また脊椎の椎間安定性があり、分離部の骨棘が神経を圧迫しているだけで症状がでている場合には、低侵襲にその骨だけを削って、神経の圧迫を取る方法も対症療法としては有効です。

 

4.薬剤について
 痛みの程度によって消炎鎮痛剤を処方します。神経症状がある場合にはビタミンB12等の内服を行います。

 

5.病気について
 腰椎分離症は下位腰椎(特にL5)の椎弓の突起間部の疲労骨折として、思春期に発症します。発育期の過度のスポーツ活動(over use)が原因であるという説が一般的になっています。疲労骨折なので早期に発見して骨癒合させることで、問題は解決します。しかし早期発見が困難(MRI検査が必要)であったり、腰痛を訴えながらもスポーツ活動を継続させている日本の状況が分離症の発症率を高くしています。症状が一時的であったり、軽微な場合にはそのまま治療することなく、中高年になって腰下肢痛として再発します。分離症を新鮮な疲労骨折の段階で診断して、治療すれば、分離症に伴う慢性腰痛やすべり症などの発症を阻止できますので、早期発見早期治療が最も重要なポイントとなるのです。野球など過度なスポーツ活動などをしている小中学生に発症する腰痛は、分離症を疑って、MRIやCT等の検査をおこない早期に診断をつけることがもっとも大切です。腰痛を訴える児童学生に運動を強要する親やスポーツ関係者の啓蒙も重要です。
 また成人や中高年における腰痛の治療においても、ヘルニアと分離症が混在する場合が有りますので思春期に発症したことのある腰痛は分離症を伴っている可能性があるという認識で検査を進めてもらうことが重要になります。