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頚椎椎間板ヘルニア

  頚椎椎間板ヘルニア

1.症  状
 
1)後頚部や肩甲骨あたりの痛みやこわばり。
2)神経根(脊髄からでた神経の枝)が圧迫を
   受けたときには片側の上肢に放散する痛み
   やしびれ。(図46)
3)圧迫されている神経根によって特定の部位
   (たとえば右の親指など)にしびれや知覚
   障害を生じます。筋力の低下も特定の部位
   に出現します。
4)脊髄(真ん中の太い神経)が圧迫されたと
   きにはしびれなどの症状が両手にでてきま
   す。ハシが使いにくくなったり、ボタンが
   かけづらくなります。足のもつれや歩行障
   害がでることもあります。

(図46)首、肩甲骨や上肢の痛みやしびれ

    

 

2.検  査
1)エックス線検査;
   ヘルニアは描出されません。しかし椎間板腔の狭小化や骨棘形成などがなければ 、
   ほとんどの場合ヘルニアによるもと考えられます。
 
2)MRI;
   最も有用な検査で、ヘルニアの飛び出している位置と方向がわかります。

 

3.治療について
 神経根(神経の枝)の症状であれば、保存療法が有効です。症状が強いときには入院して、持続牽引などの安静治療を行えば、1〜2週間で改善する場合が多いようです。外来治療で安静を行うときは頚椎カラーが有効ですが、装着する時間や期間を限定して、効果を確認しながら行うのが良いと思います。3ヶ月を経過しても症状に変化が無く、神経根症状が続くときには、手術をする場合もあります。
 脊髄症状(両手の症状、足のもつれや歩行障害)が有る場合にはただちに入院検査して、症状と検査結果が矛盾しないときには、比較的早期に手術になります。
 手術は一般的には前方除圧固定術が行われ、大変有効です。後方からヘルニアを取る施設もあり、良好な成績がでています。

 

4.薬剤について
 痛みの程度によって消炎鎮痛剤を処方します。筋弛緩剤なども有効です。神経症状に対してはビタミンB12製剤を処方します。

 

5.病気について  
 椎間板が加齢などで変性し、後方へ突出しておこります。(図47)30才〜50才の中高年層に多く発症するのが特徴です。ヘルニアの飛び出す方向や位置によって、神経根のみが限局的に傷害されるタイプと脊髄が圧迫を受け下肢症状まで出現するタイプと大きくわけられます。
 痛みが強い時期には安静保持を心がけます。頚椎カラー装具を使用する場合もあります。消炎鎮痛剤の服用で痛みが和らぎます。ある程度痛みが和らげば、頚椎牽引やストレッチなどの運動療法を行います。これらの治療によっても症状が改善しない場合や筋力低下などの神経症状の出現および下肢にも神経症状を認める場合などには手術が必要になります。

    (図47)頚椎椎間板ヘルニア